メータ・トゥーランドット
お待たせしました(してない?)。
本日はおととい行ってきましたフィレンツェ歌劇場の「トゥーランドット」の感想を。
感動巨編ついに公開!!!(←うそ)
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当日は会社を早退。NHKホールへいそいそ向かう。
NHKホールではもちろん、「券求む」の人が何人も並んでいる。で、券はどうだったのよ、手に入ったの?・・・ってこういう公演のたんびに思うんだけど。
で。
いよいよ開演。わくわく。
しかし、いきなり舞台に現れ出てきたのは佐々木のおじちゃん・・・じゃなくてNBSの理事・佐々木忠次さんだ。
彼のいうことにゃ。(よくわかんないが要点はこうだ)
・本日リュー役のバルバラ・フリットリがどうも調子悪いので、横浜公演で歌った新人歌手のノラ・アンセレムが歌います。(ま、私はうまけりゃなんでもいいんだ)
・今まで、外国に呼ぶなど非常に難しいクライバーの公演など偉大な演奏家を招聘したのはオレじゃ。感謝しなさい。
(まーたしかに。東洋の島国に住んでる私が幻の指揮者クライバーを一生のうち2度も見ることができたのは佐々木のおじちゃんのおかげだ)
・トゥーランドット役のアレッサンドラ・マークが足の故障により本国で手術を受けたので、立ってでの歌唱は難しい。5人の侍女を従えての車椅子での歌唱・演技となります。
なぬ?
巨漢歌手アレッサンドラ。やはりあの巨体を支えるのは容易でないらしい。A・マークの美声は、もしかしたらあの巨体がなければ出ないのだろうか・・・。しかし、あの体型は命にかかわる。ダイエットをすすめたい。(イギリス人歌手ジェーン・イーグレンも同様)
・・・というわけで、色々なアクシデントを乗り越えての公演である。
なんだか不安よ。
実は私の人生初のトゥーランドットは1988年のミラノ・スカラ座引越し公演である。ゼッフィレッリの演出による、大変バブリーな公演であった。DVDのレヴァイン盤で同様のものを見ることができるが、もうほんとにこれは腰が抜けるほど豪華絢爛の舞台であった。しかし、マゼールの指揮が今も心に残るほど「?」で、なんでこんなテンポなんだろう?と思いながら聴いていました。
メータはそんなことは全然なし!
今回は、有名な中国の映画監督のチャン・イーモウが演出、衣装・美術・振り付けは中国のスタッフが行いました。
全体的に赤を基調とした舞台。いかにもチャイニーズゴーストストーリー。(違うか)
いやー、まあ、とくに過激なこともなくまっとうな演出だったのですが、印象に残るのは、とにかくよく踊るよく踊るさんま御殿。踊り子さんたちが満載なのである。まるで竜宮城。
あと、印象的だったのは、ものすごく巨大な古文書。「なんでも鑑定団」でよく見かける古文書があちこちに使われている。それをべらべらとダンサーがめくりながら踊ったりするんですぅ。日本人ながら漢文ぜんぜん読めん。
感動的な3幕のリューのアリアでも、「拷問の色々」みたいな古文書が登場、(私ちょっと笑ってしまったので)感銘を薄くしてしまった。全体にやや「やりすぎ」感は否めなかった。
全体に舞台ではひっきりなしに色々な事があるので、目が離せず、音楽を聴く耳がお留守になってしまう。
(でも、私の周囲にいた「オペラ見るのこれが初めて」みたいな一家やOLさんたちは退屈せずとても楽しそうに見ていたので、これはこれでよかったのかも)
で、
第2幕になってトゥーランドット姫が現れた。5人の介護要員つきの車椅子(きれいに飾りがつけられている)で。
痛々しい。
しかし。彼女の巨大な声ながら細やかな歌いまわしは健在であるとみた。がやはり、ベストコンディションでないのと座っての歌唱であるので高音は少し苦しそう。そんなつらい状況で一生懸命に演じてくれている彼女に拍手を送りたい。(代役は立てられなかったのか?という疑問は残るが)
リュー役で交代となった、いうなれば「ウラ」の配役のアンセレムという歌手は、大変良かった。まだ若い歌手で歌は少し教科書的な感じもしたけれど、3幕で歌うアリアでは大変心のこもった歌唱で涙を誘った。この日一番のブラボーであったと思う。
カラフ役のカール・タナーは、私から見たら普通の歌唱。高音は(やや苦しそうだったが)全部出ていたし、こんなアクシデント満載の舞台の中では大健闘だったと思う。(この役に関して「本当に凄かった!」と思える公演は一回もないのだが)
最後はやはり堂々の盛り上がり。どんな公演でも終わりよければすべてよし。ハラハラドキドキのこの公演をちゃんと盛り上げてくれたズービンにも大拍手。手馴れた演奏の管弦楽団も素晴らしい(この曲の生はCDで聴くのと段違いによい。本当に凄い音がするものです。プッチーニはやっぱ天才よ)。
<配役>
トゥーランドット:アレッサンドラ・マーク
アルトゥム:エンリコ・コッスッタ
ティームール:ジャコモ・プレスティア
カラフ:カール・タナー
リュー:ノラ・アンセレム
ピン:ファビオ・プレヴィアーティ
ポン:イオリオ・ゼンナーロ
パン:カルロ・ボージ
官吏:アントニオ・デ・ゴッビ
その他
ズービン・メータ指揮/フィレンツェ五月音楽祭管弦楽団・合唱団
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コメント
なーるほど。う~む。
車椅子のトゥーランドットは変にリアルかもしれませんねぇ。
最後に愛に目覚めて立ち上がったら、アルプスの少女ばりの涙ものだったのかもしれませんよ。カバリエも大きすぎて、しょっちゅう転んでしまったらしいですからね。フリットリも・・・ですか。
演出も貴文拝見して、舞台が目に浮かぶようでした。
しゃべりっぱなしの○○人、みたいな演出ですね。
いろいろあったのですね。
でも何がおきても、プッチーニの音楽の素晴らしさは不変ですね。
そして、ズービン氏の音楽もいつまでも不変!!
投稿: yokochan | 2006年9月21日 (木曜日) 23時43分
>>yokochanさん
感想すぐに書くのを躊躇したのはこんなわけです。これ読んで、見に行く人はなんだかがっくりするかもなあ?とか思ったので。でもいい公演でしたよ。券高かったので購入にすごく迷ったのですが、劇場に携わる人の愛情に触れた気がして、行ってよかったと思いました。
トゥーランドットは最後だけでも立ち上がったらほんとに感動もんだったんですけど、かなり辛そうでした。お大事にアレッサンドラって感じです。
投稿: naoping | 2006年9月21日 (木曜日) 23時53分