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2006年7月28日 (金曜日)

コルンゴルト・ヴィオランタ

Violanta コルンゴルト:歌劇「ヴィオランタ」
ヴァルター・ベリー(シモーネ・トロヴァイ) エヴァ・マルトン(ヴィオランタ) ジークフリート・イエルザレム(アルフォンゾ) ホルスト・R・ラウベンタール(ジョバンニ) ルート・ヘッセ(バルバラ)・その他
マレク・ヤノフスキ指揮・ミュンヘン放送管弦楽団・バイエルン放送合唱団

(CBS MK79229)輸入盤廃盤

本日ご紹介いたします音源は、コルンゴルトの第2作目のオペラ「ヴィオランタ」です。このCDはほんとにスンバラシーので、ネタ切れの時に!と思って温存していたのです。しかし、ネットでオペレッタ訳詩家の方が、昨日のblogにこのCDのことについて熱く語ってらっしゃるのを発見、鉄は熱いうちに打て。トラックバックさせていただくことに急遽決定いたしました。

まず。
このCDの配役をごらんあれ。この豪華キャスト。このままワーグナーでも上演できそうです。ベリー、マルトン、イエルザレム。こんなすごいメンバーが揃わないと、この曲は上演できないのでしょうか?

答えはイエス。

ことにタイトルロールのヴィオランタとアルフォンゾ役は、ブリュンヒルデやエレクトラ級の超ドラマティック・ソプラノの声とジークフリート級のヘルデン・テナーがぜひとも必要なのでえす(と、聴いていて思った)。力強い高音を苦しむことなく響かせる事が大切よ。ということで、マルトンとイエルザレムはうってつけです。

このオペラは、コルンゴルトが17~18歳の時に作曲されました。オペラの1作目「ポリュクラテスの指環」の次の第2作目。そしてこのあとのオペラ第3作目が有名な「死の都」です。

<あらすじ>
舞台はヴェネツィア。謎の美女ヴィオランタの物語。
彼女はヴェネツィアの軍司令官シモーネ・トロヴァイの妻だが、妹がプレイボーイのナポリ王子アルフォンゾにもてあそばれて自殺して以来、一度も笑うことはない。カーニヴァルの夜、彼女はアルフォンゾを見つける。彼女は夫に頼んで復讐を果たそうとする。が、こともあろうにヴィオランタは、復讐のために呼び出したアルフォンゾに惚れてしまうのである(ガーン)。そしてアルフォンゾを切り殺そうとして出てきた夫の目の前に彼女は身を投げ出し、死んでしまう。

(参考:「コルンゴルトとその時代」早崎隆志さん著 みすず書房  ←すいませんいつも参考にさせて頂いてます。もしかして密かにこのblog読んでいらっしゃってたらどうしようと思う今日この頃。

こんな感じであらすじは単純な一幕もの。全部で70分強という上演時間にぎっしりと緊張感溢れる音楽が詰め込まれていて、決して飽きさせることはありません。

第一印象はシュトラウスの「サロメ」や「エレクトラ」の世界に近いと思います。部分的にこれらのオペラを想起させる部分もあります。(例えば、ヴィオランタが夫にアルフォンゾの殺人を依頼するシーンは、サロメがヘロデ王にヨカナーンの首を所望するシーンに似ている。オーケストラの不協和音、等)

しかし、この作品は次の作品「死の都」に負けず劣らずの傑作だと思います。
こんな素晴らしい曲の唯一の全曲盤がこんな素晴らしい演奏・録音で、しかも廃盤で入手が難しいというのは誠に残念・遺憾なことです。

さて。
初演は前作「ポリュクラテスの指環」と同時上演されたようです。しかも、初演したのはかの名指揮者ブルーノ・ヴァルターだった--という考えると、少年コルンゴルトのもてはやされぶりが(この日本語あっているでしょうか?)伝わってくるというものです。



(TB先の訳詞家の三浦真弓様から貴重なコメントを頂きましたので、ぜひご覧下さい↓)


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コメント

訳詞家の三浦真弓です。
トラックバックありがとうございました。「コルンゴルト」カテゴリを持つほどの“通”の方のお目に留まったとは光栄です。私にとっても期待をはるかに上回るすさまじいオペラで、CDを手に入れた甲斐がありました!
私はにわかコルンゴルトファンですが、それというのも、来春、コルンゴルト編曲版のシュトラウス《こうもり》日本初演の訳詞中だからなのです(笑)。まだ先の話ですが、コルンゴルト再興の試みの一つとしてお心に留めていただけたら幸いです。
今後ともどうぞよろしくお願いします。

投稿: mayumi-m | 2006年7月29日 (土曜日) 01時32分

>>三浦真弓さん
トラックバックさせて頂いたうえにコメントまで頂いてありがとう御座います。
それにしてもコルンゴルト編曲版「こうもり」の日本初演の計画があるとは初耳です。こんなビッグニュースまで頂いてありがとう御座いました。ぜひぜひ見に行きたいと思います。(東京方面の公演であればいいのですが・・・)
コルンゴルトに関してはまたblogにちょくちょく載せていきたいので、また何か詳しい情報がありましたらお伝え頂けると大変有難いと思います。
宜しくお願いします。

投稿: naoping | 2006年7月29日 (土曜日) 07時39分

こちらこそ、ご丁寧にコメントまでいただき恐縮です。
上記《こうもり》は小平市での公演です。日が近づいた頃、もしご都合がつきそうでしたら、ぜひご検討いただけますと幸いです。
コルンゴルトについてはまだほんの初心者の私、今後もnaopingさんのブログを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いします!

投稿: mayumi-m | 2006年7月29日 (土曜日) 11時40分

こんばんは。これはまた素晴らしいキャストですね。ヤノフスキも加えて、異常に食指をそそられます。そして、「こうもり」の編曲まであるんですか!驚きであります。
こういう発見の喜びもブログならではの楽しみです。

投稿: yokochan | 2006年7月31日 (月曜日) 00時21分

>>yokochannさん
そうそう、「こうもり」の編曲っていうのも結構あなどれないのですよ。これは当時の演出家マックス・ラインハルトが筋書きにわかりやすく手を加え、コルンゴルトが新たにシュトラウスのワルツやポルカを加えたりしたものらしいです。なんでもブロードウェイでもミュージカルとして舞台にかけられたようです。
それにしても、この「ヴィオランタ」もラインスドルフ盤「死の都」みたいに日本で対訳付CDが出ればいいな、と思います。

投稿: naoping | 2006年7月31日 (月曜日) 22時18分

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