ウェーベルン指揮のベルク・ヴァイオリン協奏曲
ベルク:ヴァイオリン協奏曲
ルイス・クラスナー(vc)アントン・ウェーベルン指揮 BBC交響楽団
(抒情組曲:ガリミール弦楽四重奏団)
(フィリップス PHCP-180)国内盤(廃盤)
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私は無調音楽は苦手だ。
現代音楽の調がない音楽となるともう全然ダメで、実演ともなるとなおさらで、難しそうでしかも演奏してて楽しくなさそうで楽団員の方が気の毒になる。(本当はそうでもないのかもしれないが)
しかし、ベルクとなると話は別だ。この作曲家が無調音楽というのが信じられないくらい親しみを持って聴いている。
2つあるオペラなんてもー格別に素晴らしいが、オペラの話は別の機会にとっておくとして。今日はこの名曲・ヴァイオリン協奏曲のコトについて。
古今東西の「協奏曲」と名の付くものの中で、このヴァイオリン協奏曲が一番好きだ。
今でこそさほどコンサート会場にやたらと足を運ばないが、この曲に狂っていた頃は実演で演奏される!ともなると必ず出かけて行ったものである。そんなにしょっちゅう演奏されるものでもないが。
そして、演奏会が終わって「ああ・・・・・・なんて美しい曲なのだろう!」と夢心地で歩いていると、同じ演奏会を聴いてきたオバサマ方一団が
「アラァ、何が何だかさっぱり判らなかったワネェ!アハハハ」
などと談笑しているのを聞き、
『やっぱりベルクは無調なんだなあ』
と、今更ながら気が付かされる始末。
ベルクのCDを買ったのはこのCDが最初である。当時この録音は初出で、少なからず話題になったはずである。ベルクがこの曲が演奏されることなく他界してから、初演されてから2回目の演奏の実況録音である。
ウェーベルンが本当は初演するはずだったのだが、親友ベルクを亡くしてまだちょっとしかたってなかったので、悲しくて悲しくて(ToT)練習が進まなくて前日ドタキャンしてしまったのでえす。 _| ̄|○
それを引き継いで初演をしたのがヘルマン・シェルヘンだったそうです。(1936年4月19日)よくやった。
そのすぐ後ウェーベルンが再びタクトを取った時の録音がこのCDです。(1936年5月1日)
この以上のことが初出の国内盤にはこと細かにドキュメントとして書いてある。また、この録音がどうして残っていたのか、何故CDの時代にもなって発売されたのかーとかも書いてあり、実を言うと私にとってこのCDの価値は解説書が圧倒的である。
演奏については・・・というよりもまずこの録音のすざまじい雑音が素晴らしい。まるで地底から発掘されたような歴史ロマン的な音がする(でも聞き辛いわけではない)。
なにせ1936年である。そして音楽史に名を残すアントン・ウェーベルン大先生が指揮をし、しかも作曲者ベルクに「ボクチンのために協奏曲を書いてちょ」と頼みにいったルイス・クラスナー(この曲のためにオペラ「ルル」の3幕を仕上げないでベルクは死んでしまった。クラスナーを恨んでいいのか感謝していいのかわからん)が演奏しているのである。
この録音の価値は計り知れない。
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