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2006年6月27日 (火曜日)

クライバーのボエーム1988

今や景気が悪くて(世間もオイラも)世に言う「引越しオペラ」の類はここ何年も行ってない。しかし、十何年か前のバブルな時期にはもう目玉が飛び出るほど法外な値段を出してオペラに通っていた。「バブル青田」さんがジュリアナだのなんだの(よく知らないが)通ってブイブイ言わせてた(死語?)頃、私は「神奈川県民ホール」やら「NHKホール」だの通ってかなりのお金を使っていたのだった。

そんなオペラ鑑賞の経験の中で、「今まで生きてきて、一番幸せです」(by岩崎恭子)と言えるオペラ公演がある。しかもこれから仮に40年滞りなく人生をまっとうしたとしても、最高のオペラ体験と間違いなく言えるのが1988年のカルロス・クライバー指揮のミラノスカラ座引越し公演の「ボエーム」である。

この年の引越し公演はまさにバブル絶頂期であった。ミラノスカラ座とともにミュンヘン・オペラもその年に来て、この中には「史上最強のマイスタージンガー」(なんか特撮映画の題名みたいだ)といわれる伝説の公演もあったし、ルチア・ポップによる「アラベラ」もあったりとほんとに盛りだくさんな年であった。(その話はまた別の日に)

1988年のミラノ・スカラ座公演はムーティ指揮の「ナブッコ」「カプレッティとモンテキッキ」、クライバー指揮の「ボエーム」、マゼール指揮の「トゥーランドット」という超豪華版。出演者もフレーニ、バルツァ、ディミトローヴァ、アリベルティ、クベルリ、デッシー、ドヴォルスキー、ブルゾン、ラ・スコーラ、マルティヌッチ、なんとか、かんとか、ああもうめんどくさいとにかくたくさん有名な人が出たのさっ。

その年のある日、私は仲良しだった友人に「トゥーランドット見に行きたいね」と言われ、「いってみるう?」と何やら盛り上がってしまい、私が電話で券を予約することになった。1時間くらいかかってやっと電話が繋がり、マゼール指揮のトゥーランドットを2枚ゲット。で、念のため 本当に念のため「あの、クライバーのボエームまだありますか?」
と聞いたてみたら「うーん、A席が何枚か、残ってますね♪」という信じられない言葉が返ってきた。

ありえない

ありえない

で、自分の分だけゲット(だって友達はトゥーランドットだけ見たいんだもーんいいんだもーん)。

結局「ボエーム」と「トゥーランドット」のプッチーニの作品を2日続けて見ることに。

そして待ちに待った「ボエーム」当日。
神奈川県民ホールの裏口にバスが着くと「なんとかサファリパーク」みたいなシマウマ模様の車を発見。「何で?」とその時は思ったが、なんてこたない、第2幕に出てくるパルピニョールの連れてるロバが運ばれてきてたのであった。ビバ!パルピニョール。

<その日の配役>

ロドルフォ:ペーター・ドヴォルスキー
ショナール:アントニオ・サルヴァドーリ
ミミ:ミレッラ・フレーニ
マルチェロ:ジョナサン・サマーズ
コルリーネ:ジョルジョ・スルヤン
ムゼッタ:バーバラ・ダニエル
その他

席はA席だったが、クライバー好きには願ってもない、よい席であった。
神奈川県民にいったことのある方はおわかりだと思いますが、2階席の両はしは舞台近くまでせりだしています。その一番前だったのです。ってことは、少し横から見ることになりますが、舞台に近くてよく見えるし、指揮者はこんなかんじで、真横からよく見えました。Kleiber_2 にこにこしながら踊るように指揮していました。楽しそう、カルロスったらなんてキューーーート。絵があまりに下手でごめんなさい。遠い昔なもんで。

ボエームの実演を見るのがはじめて(いやいや、イタリアオペラのほんもの見るのこの日が人生初めてさっ)だったので、「ああ、こういうものなのか」と思い、すべてが発見。ミレッラ・フレーニおねえさまも、CDで聴いていたときはリリックソプラノそのものだったが、実際に聴いてみると声量のものすごさに驚き。会場の隅々までいきわたるクリーミーな声。「我が名はミミ」で引き込まれそうなくらいの絶妙なうまさ、可憐さ。まさにイタリア・オペラの声とは、これだ。

夢のような第一幕が終わり、幕がおり、休み時間?と思ったら指揮者はひっこまない。にこにこして腕組をして立っているクライバー。と突然「ぱっぱっぱっぱー」と威勢のいいトランペットが鳴り響き幕が上がり、合唱の声。大拍手。そのときの衝撃は何年経っても忘れられない、大好きな瞬間。

舞台は2段になっていて、2段目のほうは遠くの街並みを子供たちに大人の服を着せて歩かせて、目の錯覚を起こさせて舞台の奥行きを感じさせている。やるなゼッフィレッリ。
舞台からはみだしそうなほど沢山の人が舞台に乗っている。ムゼッタが大爆笑とともに登場。有名なアリア(ムゼッタのワルツ)を歌う。他の登場人物もだんだんと歌に加わり絶妙なアンサンブル。あれこれとやりとりがあったあと、ついにムゼッタはマルチェロのもとに帰る。全員の声がぴったりとまとまり、オケも最高に盛り上がる。フォルテシシシシしししモ(?)。 

「♪マルチェッロー♪」

そして場内は大喝采。ぜんぜん泣く部分でないのに私はここの所で大泣きしてしまった。だってものすごいんだもん。なんていったらいいの?この涙はなんなの?わかんないよ。感動なのかしら。

うゎーんうゎーん。(ToT)

涙がとまらないよママン。

すげえよ、クライバーすげえよ。

カルロス愛してる~(←?)

(以下、3幕4幕の感想は略)

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クライバーはとうとう「ボエーム」のスタジオ録音はしなかった。(第一幕だけしたって話は本当???)クライバー自身、日本にくるたびに自分の海賊録音盤をCDショップで探しては喜んで買って帰ってったって話(そして東京ネズミーランドに女子大生とデートしてたって話も・・・アワワ)を読んだことがあるが、「ボエーム」も海賊盤がある。自分が見た公演のとほとんど同じ配役のものを持っている(ヤバイすか?)。そして、ことあるごとに聞き返す。本当に随分前のことなのに、昨日のことのように涙とともに蘇る。本当は買ってはいけないのかもしれないけど、私にとっては人生最高の演奏を思い出すことのできる、大事な大事なCDなのである。

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