アルバン・ベルクの伝記
アルバン・ベルク 生涯と作品/フォルカー・シェルリース著・岩下眞好/宮下尚理訳 (泰流社)
今日はちょっと趣向を変えて、私の愛読書をひとつご紹介いたします。
ベルクの伝記本です。私がベルクの音楽にはまりだしたころ、丁度 お茶の水の三省堂書店においてあった物です。判りやすい文章と、図版が多くで親しみやすかったので、 おバカな私でもあっというまに読めてしまいました。そのすぐあとまた三省堂に行ったらまた入荷していましたので、画学生時代に仲のよかった音楽マニアの担任の先生にお送りしました。 (齋藤先生、お元気でしょうか?)
本の表紙を見て判るように、ベルクはとってもカッコイイです。 (*^。^*)
ベルクはご存知の通り、ウィーン生まれの作曲家です。この本の素敵なところは、当時の芸術(音楽と絵と文学)に満ち溢れたウィーンの様子がこと細かに書いてあることです。
(ウィーンの中心地の生家や、結婚してから住んだ家などの地図も載っています。 ウィーンに行ったら訪ねてみることも可能です。)
音楽のことはもちろん、ベルクが美術やデザインに興味があり小さいころから美術史美術館に通っていたとか、一番お気に入りの絵(コレッジョの「ジュピターとイオ」)が載っていたり、ベルク自身がデザインした歌曲集の表紙デザインとか、すごく興味深く見ることができます。師匠シェーンベルクのヘタクソな絵も載っています。
図版がカラーならもっといいかなとも思いますが全部白黒です。残念
そんな 音楽家なのに絵を描いたり、音楽家と画家が普通に交流を持ったりできる当時のウィーンという土地に非常に興味を持った私は、すぐにウィーン旅行に行く計画を立てました。ツアーでなく、全部自由行動だったのですが、なにしろ行くのは初めてですからどのホテルがいいとか、全くわからないので旅行会社の人に決めてもらいました。
で、いざウィーンに行ってみたらそのホテルはベルクの生家のすぐ隣の建物でした。びっくりでした。ウィーンは狭いねえ。
(・・・って、昔どこかに書いたら、「ベルクの生家は取り壊されて別の建物になってるって書いてありましたよ!」とわざわざ知らせてくれた人がいました。ネットのアドレスまで付けてね。現場に行ったのだからそんなこと百も承知だと思うけど普通。伝記にだってベルクの生家の絵は載ってるしね。私が3回目に訪ねたときはいまどきのお洒落なカフェになってました。ウィーンぽくねー)
ウィーンは狭い。この伝記の登場人物はまた、マーラーの伝記やアルマの自伝に登場する人物と重なる。ベルクが晩年まで10年間愛し続けたカネモチの人妻、ハンナ・フックス・ロベルティンは、アルマ・マーラーが3回目に結婚したフランツ・ヴェルフェルの姉であった。(そしてその深い関係はベルクの死後、アルマを通じて奥さんにバレタ)全くおせっかいな人だ
そんなことを色々と頭に入れつつ、巡ったウィーン旅行はとても充実したものでした。忘れられないです。
しかし、こないだ三省堂に行ったらもうこの本置いてなかったです。amazonにもなかったみたいだし。・・・絶版かな???
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