蝶々夫人in London 1993
毎日 CDの紹介ばかりで少し息切れしてきたので、たまには実際に行ったライブの思い出を語ろうかなと思います。
十年以上前の話で恐縮ですが・・・。
私は1993年に人生初の海外旅行に一人で挑戦しました。行き先は大都会ロンドン(BGM・クリスタルキング「大都会」あーあーーーーはってしーないー♪)。ロンドン在住の友人を頼って行ったのです。
で、2週間の滞在中に一度は本場のオペラ・ハウスを体験したいと、友人に頼んで券を一緒に買いに行ってもらいました。あまり計画もなかった旅だったので、何を上演してるのかもわかりません。
オペラハウスの窓口に行ってみると滞在中に見ることのできるオペラは「リゴレット」と「蝶々夫人」だけでした。私はプッチーニ好きなので迷うことなく「蝶々夫人」にしました。・・・これから起こりうる恐怖を予測できなかったのです。
人生初、海外で見るオペラが蝶々夫人!
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ロンドン。
世界に名だたる大都会ロンドン。
世界中から観光客や移民、留学生が集う国際都市ロンドン。
日本のビジネスマンも多く働く街、ロンドン。
そんなロンドンでも、いまだにこんな前世紀の遺物みてぇな「蝶々夫人」が上演されているとは!!!
<その日の出演者>
ゴロー:ジョン・ドブソン
ベンジャミン・フランクリン・ピンカートン:ニール・シコフ
スズキ:アン=マリー・オーウェンズ
シャープレス:アラン・オピー
蝶々さん:ダイアナ・ソヴィエロ
その他
カルロ・リッツィ指揮/ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団・合唱団
なるほど、飛びぬけて有名な人はいない代わりに、そこそこ名前は知っている歌手と指揮者、さすがロンドンだわ。恒常的に実力者が出演しているのね、と勝手に納得。
赤い素敵な表紙のプログラムを購入。あら、綺麗な広告。
写真もいっぱいで記念になるわね。
え。
ま、昔の上演だったら こんな衣装だわね。ドレスみたい。
・・・・あ、こんなのもありかな、昔だったら。中国みたい。
ええ~~~??何被ってるの?
と大ウケしながら、上演開始を待つ。
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幕が開いて、友人とのけぞった。
ええ?これは。いつの日本?
「80日間世界一周」のカンチガイ日本。
コメディでもなんでもないアーサー・サリバンの「ミカド」の世界がそこに。(舞台写真で見る「ミカド」の衣装はギャグなのかと思ってたが、もしかして大マジメなの???)
プログラムの写真とさほど違わぬカンチガイ着物(→ドレス?)。
庭の地べたに普通に座り込む日本人(えーっと、大岡越前のお裁きじゃないよね)。
アメリカ人に家の中の土足を容認するスズキ(や、靴は脱いでくださいよ、一応)
ただでさえおっかないのに、怪しいキャラ倍増のボンゾー・・・。
次々と繰り広げられるヨーロッパ人の想像に於ける間違った日本人像に、私はこみ上げる笑いを抑えるのに格闘、在住者である友人は半ば怒り・・・と、そんな感じで一幕は終わり、幕間にハーゲンダッツのアイスを食べながら友人は言った。
「naopingちゃん、これからもう危ない登場人物はでないわよね?」
私は答えた。「うん、もう出ないと思う・・・。」
私は忘れていた。蝶々さんの求婚者ヤマドリの存在を・・・。
うぁー、この人も怪しさ全開・・・。もうたくさんだ、もうだれも出ないでくれ!
ちなみに、舞台上だけでも充分に恐怖の大王なのに、第二幕では前奏が始まってしばらくたっても幕が開かないので、指揮者が苦笑いをしていったんオケを止め、もう一度やり直すというおそまつもあった。
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そんなこんなで、普段なら涙をこらえきれない大感動オペラ「蝶々夫人」は、(私にとっては)モンティパイソン並みの爆笑で終わった。考え込む友人。「私はロンドンで蝶々夫人上演禁止令を発令するわ!!」
周りは感動する現地人でいっぱい。隣に座っていた老夫婦はハンカチを取り出して大泣き。(ちなみに演奏・歌唱のほうは、舞台が強烈すぎて全然覚えていません)
・・・・
もしかしてこれが普通の蝶々さんなんだろうか。ヨーロッパでは。
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