2022年11月23日 (水曜日)

R.シュトラウス「サロメ 」ノット/東京交響楽団

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R. シュトラウス:オペラ『サロメ』
(演奏会形式・字幕付 全1幕・ドイツ語上演)
サロメ:アスミク・グリゴリアン
ヘロディアス:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
ヘロデ:ミカエル・ヴェイニウス
ヨカナーン:トマス・トマソン
ナラボート、ナザレ人2:岸浪愛学
ヘロディアスの小姓:杉山由紀
兵士1、ナザレ人1:大川博
兵士2:狩野賢一
カッパドキア人:髙田智士
ユダヤ人1:升島唯博
ユダヤ人2:吉田連
ユダヤ人3:高柳圭
ユダヤ人4:新津耕平
ユダヤ人5:松井永太郎
奴隷:渡邊仁美
指揮:ジョナサン・ノット
東京交響楽団
演出監修:サー・トーマス・アレン
(11月20日 サントリーホール)

沼津旅行の次の日だったので、券を(前から)取っていたのを若干後悔。疲れてて寝てしまうのでは、と危惧していたが、サロメは演奏時間100分と短いため、とくに寝ることもなく鑑賞。パルシファルとかだったら爆睡してしまってたかも。

2018年のザルツブルグ音楽祭ですい星のごとく現れたサロメ、アスミク・グリゴリアンを日本において堪能。なんという幸運。日本に生まれてよかったあ、お魚美味しいし。

ザルツブルグですい星のごとく現れたサロメ、というと(古いけど)カラヤンがみっけてきたヒルデガルト・ベーレンスを思い出す。カラヤンは偉大な指揮者だったけれど、私にとってカラヤンの最大の功績は(全然無名だった)ベーレンスをサロメに抜擢したことだと思う。今回の予習と称してカラヤンのザルツブルグ・ライブをYouTubeで見つけて子供の頃を懐かしんで毎晩聴いていたが、いつのまにか動画が検索されなくなっていた。どこ行ったんだろ。あ、セッションじゃなくてライブね。狂気のサロメ、ベーレンスと咆哮するウィーン・フィル、あれを超える演奏などない、と思ってた。

グリゴリアンのザルツブルグの映像は、BSで観た。よくわからん演出(首が欲しいって言ってるのに首を取られた胴体だけ出てきたり)にまぎれてすっかり演奏などどっかに行っていたが、ショートカットの髪型のせいか「ホラン千秋さんみたい」とか思って見てた。

サントリーで観た時は長い髪?を後ろに編んでまとめて、クノップフやバーン=ジョーンズの絵画に出てくるファム・ファタルな美女を彷彿とさせた。ごっつい名前に似つかわしい眼力のつおい美人。そんでモデルさんみたいな体形(ウエストほっそ!)。胸を大きく開けたせくしいなブラックドレスがお似合い。どうしたらこんな人が生まれてくるのかわからん。私、女だけど眼福でしたわ。前から12番目で良く見えた。41歳って嘘でしょう?ロシアとかあの辺の女性は40超えれば太ってるじゃないか普通(←偏見)。

今回の演奏会(演奏会形式じゃからのう)では、日本人キャストに若干変更があり、そのうち好きな歌手さん、ナラボート役の鈴木准さんとユダヤ人役の糸賀修平さんが急病またはコロナ陽性で交代。しかたないけどなんか悔しい。とくに鈴木准さんのナラボートは聴きたかったなあ。

しかし、ナラボート代役の岸波さんは立派に勤めていらしたのでよかった。サントリーは川崎に続いて2回目の公演だったので、川崎よりこなれていたのかな。曲が始まってすぐに歌いだす責任の重い役ながら、バルト三国美女に迫られて役得かと。

それにしてもまあ、グリゴリアンは素晴らしい。まあ、ジェット機を圧するほどすごくでっかい声というわけでもなく(オケが舞台下に潜ってないのでしかたないか)たまにオケの音に声が埋もれてしまってはいたものの、声量は日本人とかに比べると圧倒的だし、何というか声に色っぽさがあるというか(イタリアものもロシアものもよい)、艶のある声に魅了された。他の歌手のサロメは「そういう役柄だから(周りの男が魅了されまくっても)仕方ない」って思って見るけど、グリゴリアンはいやこんなんナラボートが陥落してもしかたねえな、ヨカナーン呼び出しちゃうなって思った。声や外見だけでなく、演奏会形式ながら若干の演出もあったため、黒猫のごとき我儘でいたずらっぽい表情、そして周囲を(自分では意識してないのに)魅了する妖艶さなどを堪能。こんなに前のほうの席なのに、私の両隣はオペラグラスでガン見。

他の来日組の歌手さんたちも素晴らしかった。なんかユル・ブリンナーみたいなこっちも眼力つおいヨカナーン、毎日お酒ばっかり飲んでるでしょ感の強いヘロデ王、ヘロディアス感の強い声と外見のヘロディアス(ドレスが素敵だった~)、穴はなし。端役ではあるけどナラボートを想う小姓役の杉山さんもこの豪華キャストの中埋もれることなく輝いてらした。他のその他おおぜいの男の人たちもよかった。普段日本人がすると「おーおー」というナザレ人やユダヤ人たちの叫び声はなんか歌舞伎っぽくなったりするのだけど、今回はそんなことなかった。

しかしまあ、歌手が中心なわけでなくこのオペラの主役はオーケストラ。ノットの指揮の演奏会は私は何故か声楽ものばかりでシンフォニーなのは聴いたことないんだけど、今まで外れなく「この曲のトップ演奏!」て思うものばかりだけど、今回のサロメも生で聴いたものの中で1番のサロメであった(そんなに沢山聴いてないけど)。実演とラジオ放送の差はあるけど、たぶんカラヤンのライブと張る演奏だったな。何年か前に聴いた二期会のヴァイグレも素晴らしかったけど・・・なんか凶暴さ、暴れまくりの演奏でノット&東響は圧倒してる。ネットで見ると「今年のベスト1!」という感想で溢れていた。終わってからの拍手(照明が最後に落ちてカッコイイ!)はなかなか止まらず、何回もカーテンコールに呼ばれる出演者たち。ブラボー禁止だから「BRAVO!」と書かれた自作の布を掲げる人も何人かいた。でもブラボーの声出してる人も何人か。しょうがないねこりゃ。

演出はサー・トーマス・リプトン・・・じゃなくてアレン。最少の小道具・最少の演出はさすが演劇の国という感じで(演奏を邪魔することなく)楽しめた。いや、こんなんでいいんだよ。こないだのゲッツェル指揮の「椿姫」もこんな感じ(もうちょっとセットがあったかな)だったけど、余計な演出があるより演奏や曲に没頭出来ていいと思う。そういえば、原作者オスカー・ワイルドはイギリス人だもんなあって終わってから思い出した。

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2022年11月22日 (火曜日)

沼津旅行2022

全国旅行支援クーポンを利用して、有休休暇を1日とって友人と一泊の沼津旅行に行ってきた。
旅のはじめは、沼津といえばまずはお寿司だ。沼津駅から路線バスで沼津港に向かう。数多いお寿司屋の中で老舗の双葉寿司へ。

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双葉寿司はそんなに安いわけではないのだけど、寿司10貫?とお味噌汁で2970円。普通のランチとしてはちょっと贅沢だけど築地だったらこのくらいするよね。

まずは白身三種(魚の種類は忘れた)
ここのお店は「手で食べる」ことを前提としている?のかカウンターの前にはちょろちょろとお水が流れていて、汚れた指をいつでも洗えるようになっているんだね。まあ、今回は一見さんのため、お箸で喫食。

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鰆(さわら)。皮を炙ってくれていて、塩も振ってあるので何もつけないで食べてね、とのこと。これが一番美味しかった。

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マグロ二種。(どう二種なのかは忘れた)

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とても美味しかったが、「もうちょっと食べたい」感を残してお勘定。お店で作った豪華な「お寿司カレンダー」を頂いた。ものすごく美味しそうなカラーの寿司写真を12か月にわたって楽しめるという(貧乏人にとってのは地獄のような)代物だ。

そのあと、この度の一番の目的である(私はだけど)「沼津港深海水族館」へ。平日だったのでそんなに混んでなく、深海の生き物を堪能。

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しかし、深海魚とあって昼間は結構仕事をさぼっている生き物も多く、ダイオウグソクムシは全く動かなかった。まあ、中には元気いっぱいに動いているお魚やヤドカリ、エビなどもいて全く飽きずに見ていた。タカアシガニはすごくでっかかった。これ足一本食べたらどんなに美味しいかな・・・という妄想ばかりしていた。

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今回のお宿のすいほう園。ヤフートラベルでさがして、食事がおいしくてリーズナブルということで、早々に予約。朝食と夕食付きで10455円とのことだったので「これは、2人分なのか。それとも1人分なのか」とは思ったけど「どっちでも安いしいいや」とか思ってた(結構適当)。しかし、お勘定のときにやっぱり2人分とのことだったので、一人5200円くらいで泊ったことになる。ええ、いいのかこれ。しかも「ふじのくに地域クーポン」という静岡の地域クーポンを3000円分も貰って、お土産はほぼこれで賄った。会社のお土産におせんべいをたくさん買った。

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夕食は写真の他に、茶わん蒸し、サツマイモとレンコンの煮もの、アジフライのサラダ添え、などが出た。食べ物は何でも美味しかったが、魚介がやっぱり美味しい。魚の煮付け、お刺身、生シラス、生桜エビ・・・さすがの沼津で幸せだった。

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お宿は温泉ではなく、大浴場は女性は『中浴場くらいかな?』という規模だったが(なんで男性のお風呂はでっかいのに女性のお風呂はちっさいのだ、どこの旅館もそんな気がする)、清潔で気持ちよかった。部屋の外の景色は「交通安全ビュー」というか交通安全の旗が道に立ってるのが見えたくらい殺風景だったが、外に出て三分も行けば富士山が良く見えるし、とてもきれいな海もすぐで(釣りスポット!)、何より沼津港まで歩いて10分で行けるのは(車のない我々にとって)大変ありがたいお宿だった。(しかし、看板猫のしろべえちゃんに会えなかったのが唯一の心残り)

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朝食。よくある旅館の朝食ではあるが、名物のアジの干物を堪能。ある程度焼きは入っているが、テーブルで追い炙りをしてくれるサービスぶり。美味しかったなあ。卵は生じゃなくて温泉卵。シラス&大根おろしも、明太子も大好きで嬉しい。ごはん美味しくておかわり。

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チェックアウトして再び歩いて沼津港。観光ポイントである「びゅうお」へ。

大地震にともなう大津波に備えて建設。大地震が起こったら海をせき止めるシステムよ、しかし建設後一回も使った事ないよ、と現地のボランティア解説員のオバチャンが説明。

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びゅうおに登ると、展望台的なもので周りが見渡せる。トリックアート的なものがあり、「ラブカ」と記念撮影。どうです、飛び出て見えますかね?

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帰りにもう一度お寿司を食べようと、今度はリーズナブルな回らない回転すし的なお店に行った(回らないけど、お皿でお勘定を計算するみたいなシステム)。そこももちろん美味しかったんだけど、お店の外に出て友人が「この店も美味しかったけど・・・双葉寿司がどんなに美味しかったか、凄かったかが今わかった」と言っていた。本当に首を縦にぶんぶん振るほど100%同意だった。

その後、「ジェネリックさわやか」と言われる「そのまんま肉バーグ」という冷凍ハンバーグをファミマで購入し、新幹線に乗車。行きも帰りも自由席で余裕でした。えっと、「さわやか」は画学生時代に静岡出身の友人の実家に泊まりに行ったときに友人のお父様に連れて行ってもらった有名なハンバーグ屋さん。静岡県民のソウルフードです。

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2022年11月 5日 (土曜日)

ヘンデル/シッラ(日本初演) 神奈川県立音楽堂

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ヘンデル『シッラ』全3幕 日本初演(イタリア語上演 日本語字幕付)

ソニア・プリナ(コントラルト/ローマの執政官シッラ)
ヒラリー・サマーズ(コントラルト/ローマの騎士クラウディオ)
スンヘ・イム(ソプラノ/シッラの妻メテッラ)
ヴィヴィカ・ジュノー(メゾ・ソプラノ/ローマの護民官レピド)
ロベルタ・インヴェルニッツィ(ソプラノ/レピドの妻フラヴィア)
フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(ソプラノ/シッラの副官の娘チェリア)
ミヒャエル・ボルス(バリトン/神)
神谷真士(スカブロ/シッラの臣下 黙役)
桧山宏子 板津由佳(エアリアル)
片岡千次郎(兵士/殺陣)
亀山敬佑(兵士/殺陣)
ファビオ・ビオンディ指揮 エウローパ・ガランテ
台本:ジャコモ・ロッシ
演出:彌勒忠史
美術:tamako☆
衣裳:友好まり子
照明:稲葉直人(ASG)
立師:市川新十郎
台本・字幕翻訳:本谷麻子
舞台監督:大澤裕(ザ・スタッフ)

(10月29日 神奈川県立音楽堂)

実家の親にいろいろあり(今は元気です)、一週間ほど実家で寝泊まりしていてでオペラどこではなかったが、前から券をとっていて楽しみにしていたので何とか鑑賞。行く前は東京からそこそこ遠いし券とっておいて若干後悔したのだが、行って正解であった。オケも独唱者も全員外国からやってきてくださり、しかも実力のある方ばかり・・・ということだが、私はバロックオペラを聴くようになってそんなに経ってないんで、歌手の皆さんは名前も知らず。

ヘンデルのオペラって面白いって思い始めて何回か生で観に行ったけど、ほとんど予習をしたことはない。なんか歴史とかよくわかんなくて。でも当日は凄い超絶技巧のアリアとか美しい古楽器の演奏に引き込まれて、あっという間に時間が経ってしまう。そうそう、何で新国の「ジュリオ・チェーザレ」に行かなかったの?って思うでしょ。いや実は券取ってた・・・つもりだったんだよ。3階席のいいところ。それが、自分の勘違いだったということが直前に発覚し、気が付いたら一番いい席しか残ってなかった。でもなあ・・・私から言わせるとクレオパトラ役は是非モリマキ様でお願いしたいとこだったなあ・・・とか思い(いや別にキャストに文句はないですが)。しかしその頃モリマキ様はあのゲッツェルの椿姫だったしなあ・・・。まあ縁がなかったんかなあ。古楽器のオケじゃないのも(いや東フィルさんには何の不満もないんですけど)ちょっと。(いや本当は行きたかったんだけど)

さてシッラ。
この公演は2年前だかに本当は上演するはずで、あと15時間で初の舞台稽古だという時に、コロナ禍で中止に。そして今年になってほぼ同じメンバーで日本での公演が実現した。私はそのいきさつは全然知らなかったんだけど、そうそうあのびわ湖ホールの「神々の黄昏」と同じような感じだったのね。古楽ファンの悲しみはいかばかりか。しかしまあよく実現できたものだと思う。

とかく演奏時間が長い印象のヘンデル・オペラだが、この「シッラ」は長くない。休憩入れても3時間くらい。シッラという独裁者(妻帯者)と2組のカッポーとのせめぎあいというか、最初は争ったりシッラが奥さん以外の女にちょっかい出したりするけど最後は突然改心してハッピーエンドというわりとわかりやすい内容。あんまり内容は考えずに音楽や歌唱に身を任せるのが正しい感じだ。

まあ、これだけの芸達者な演奏者&歌手が揃っていれば舞台演出などなくても十分楽しめそうなものだが、そうもいかないのが彌勒演出。前に横須賀で上演のブリテンの「カーリュー・リヴァー」の演出を彌勒さんがされてた時も思ったのだけど、恐ろしく衣装が豪華。1回か2回くらいしか使わないのに、絢爛豪華な衣装が逆に(お金大丈夫かなと)心配になる。今回の「シッラ」も最高の席は15,000円であったけど、正直「別に演出なしの演奏会形式でもこの値段でも文句ない」と思った。素晴らしい演奏の上に、大変にカラフルなキラキラしい衣装。あの猿之助さん演出、バイエルン国立歌劇場の「影のない女」を思い出す衣装。

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(神奈川県立音楽堂のTwitterより拝借)
神奈川県立音楽堂は、今回初めて行ったのだけど、どう考えてもオペラ向きにはできてない。全体的に木造で、舞台は狭く、「せり」とかの舞台機構とかは皆無。そこを補った舞台装置、「別にバロックなのだからいらなくね?」と思うような歌舞伎の殺陣や最後にはエアリアル(舞台上からリボンをたらして、それに捕まったダンサーさんが2人アクロバットなどする)などサービス満点。

バロック・オペラにありがちの退屈など皆無。バロック初めてでも十分楽しめるように工夫を凝らした舞台は大変楽しかったけど、そうでない人も若干いたのか、私が観た初日ではなく2日目には(演出に向かって)ブーイングが出たらしい。(ブラボーは禁止されているのにブーはいいのかな)。こんなたった一人の「あなたの感想ですよね」のために観に来て楽しんだ人々は不愉快に感じたのかなと思ったら何だか悲しくなった。初日で良かった。まあ、開演前に(個人的に)不愉快な客を見たんだけど(案内してくれた係員さんが不慣れだったのか、どっかのおっさんが「ここでは使えない従業員を雇っているんだね!」と文句を言ってた。そのおっさんの背広のしっぽがみっともなくひっくり返ってて、自分の服装をちゃんとしてから文句を言えばいいのになと思った)それはちょっと嫌だったな。

公演に関してはとくに文句はなく、よい公演だったのだが本当は個人的にはカウンターテナーが好きなので(外見と声の乖離がすごく好き)、男性役が(神様役のバリトン以外は)全部女性歌手だったのがバロックにしては珍しいと思った。主役のシッラも男性役だけど女性のコントラルトの歌手が演じられていて、歌舞伎でいう隈取の悪役の化粧だったのですごく本人楽しそうにされていてそれは良かった。女性の役はやはり西洋人が着物を着ることになるのでどうしても外国で観る噴飯ものの「蝶々夫人」になってしまうのだけど、まあ・・・歌唱が素晴らしいので慣れた。韓国からいらした(たった一人の東洋人歌手)スンヘ・イムさんはさすがに着物が似合っててチャーミング、声も清澄で素晴らしかった。

バロック・オペラはやっぱり楽しいな、ワーグナーやR・シュトラウスなどのドイツ・オペラも大好きだけど、ヘンデルなどのバロック・オペラもまたずっと観に行ったりしたいな、と思った。・・・と思ったら、入り口で貰ったチラシに、来年のこの劇場での上演予定に鈴木王子指揮BCJによる「ジュリオ・チェーザレ」が。しかもモリマキ様のクレオパトラ、大西宇宙さんもご出演だとのこと。これは新国の上演より(私にとっては)嬉しい。ずっとずーーーと嬉しい。

なお、シッラ当日はNHKの車がお外に止まっていて、映像収録があった模様。2023年1月15日にBSプレミアムで放送予定だとのことで、是非みんな見てね。目も耳もとっても楽しい公演なので是非是非。

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2022年10月23日 (日曜日)

岡本太郎展 東京都美術館

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金曜日の夜、給与計算が終了したのでネットで予約して参戦。さほど思い入れのない芸術家だけど平日もたいそう賑わっているという話なので金曜の8:00までやっているときを狙って行った。しかし、行列ができるほどではないがそこそこ観客はいた。中には小学生のお子さん連れのファミリーとかもわりといて楽しそうに写真を撮ったりしてたもんで、「芸術は爆発だ」を知らん世代でもずっと受け入れられる芸術家なんだなと思った。私も中学のときはクラスの悪男子たちと図書室でダリの画集見ながらガハハとか笑ってたりしてたからそんな感じの存在かな。

そうそう、この展覧会は写真撮ってもOK(自分で使用するためのみ)。そこかしこに流される映像は写真ダメ、動画は撮っちゃダメ、作品の上からの撮影はダメ(カメラをおっことして作品を傷つけたりしないため)などの制限はあったものの、とても珍しいなと思った。最近はコンサートのカーテンコールは撮影可になったりして驚いたけど、やはりこのご時世なのでSNSで拡散するのは良しとしているのだろう。

それにしても恐ろしい展示の数。一人でこんなに描いたり作ったりしたのか、と今さらながら驚く。子供の頃は「ビートたけしのアーティスト版みたいな人」などという認識であったが(まあ、タケちゃんだって今やコメディアンというよりアーティストだけど)、改めて映像を熱心に見ると日本版ピカソ+ダリみたいな感じに印象が変わる。

まあ、展覧会には岡本氏本人の年譜が展示されてたけど、まあなんというか・・・エキセントリックな人生なんだな。お父さんもお母さんもちょっとクセがすごすぎる。家庭環境があのような芸術家を生み出したのかなあと。母親の家が大金持ちだったというのもあったけど、家族でフランスに渡ったりとか・・・実家が太いの芸術家には大事。

最近たまたま渋谷に行く事が多いのだが(コンサートとか)、井の頭線に行く途中に岡本太郎のでっかい絵(明日の神話)が飾っていているも「でっかいな~どうやって(どこの会社が)運んだのかな」(←職業病)とか考えてしまう。会場では修復や除幕式の様子の映像も流された。さしずめ日本の「ゲルニカ」かな。また、近鉄バファローズ(昔の)の帽子の展示があり、「なんで?」と思ったけどあの牛のマークは岡本氏のデザインだったのだね。チュッパチャプスのロゴマークがダリなのを思い出す。

6:30くらいに入ったため時間がなく1時間くらいで速足でみたけど、ちゃんと見たら2時間くらいかかりそうである。また、グッズが「どうしたの?」と思うほど充実していた(みんな狂ったように買ってた)。展示の中のブラウスの柄が可愛いな、布があったら作りたいなって思ったけどそんなの売ってるはずはなく、同じ柄の手ぬぐいを購入。あと、タローマンのハンカチも買ったけど、人に見られたらドン引きされそうな感じだ。

場内に「座ることを拒否する椅子」の展示が何個かあったけど、みんな拒否されず普通に座ってたし、私も座った。あまり座り心地のいいものではないけど。あと、例によってカタログを買わなかったのだが、あとで出品リストを見返したら「大野外オペラ・ローエングリンのためのデザイン」などというものがあり、すっかり見逃していて後悔。ネットで探すと一応上演の画像は出てきた(個人のブログだったのでリンクしないけど)。砂原美智子さんのエルザ、高田信夫さんのローエングリンとのこと。観たかったな(生まれてない)。

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グラスの底に顔があったっていいじゃないか・・だっけ?

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↑座ることを拒否する椅子。

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2022年10月21日 (金曜日)

ヴィエニアフスキ・ヴァイオリンコンクール 前田さん優勝おめでとうございます!

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ピアノで言えばショパン・コンクールと同じくらいすごいレベルのヴァイオリン・コンクールで、日本人が優勝した!前田妃奈さんおめでとうございます!

実は今回は(仕事が忙しくて)あんまり聴いてなかったんだけど、たまたま昨日の夜中に目が覚めて、彼女の弾くブラームスのコンチェルトをリアタイで聴いていたよ。楽器がいいのがまずよくわかる、として。彼女の笑顔さえたたえた落ち着いた演奏は本当に素晴らしいと思いました。まあ、私がこの曲が好きだってのもあるけど、聴き惚れました。

いつか、生演奏で聴けることを楽しみにしています。本当によかったです(他の人聴いてないので比べられないけど)。

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2022年10月16日 (日曜日)

ブロムシュテット/N響 マーラー9番

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第1965回定期演奏会
マーラー:交響曲第9番ニ長調
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮 NHK交響楽団
(10月15日 NHKホール)

土日とも全席完売、当日券なし。どうも(他人のTwitterによると)N響の定期が完売するのって、朝比奈隆さんが晩年に指揮した時以来なんだそうだ。どんだけ売れてないのN響。まあ、だいたい当日行けば入れるもんね。しかしまあ、クラシックのコンサートであのでっかいNHKホールが全部うまってるのって初めてみたかも。だいたいどこか空席はあるものかと。私はたまたまEプラスのアプリで眺めてたら「あら、ブロムシュテットがマーラーを振るの」と思い、まだちょっと余裕があったので一番安い席をゲット。何でも私が初めて自分で買って行ったコンサートはブロムシュテットのN響(巨人)だったもんでね。マエストロは数か月前にどうも転んで骨折したらしく来日も危ぶまれたが、ちゃんとおいでになった。

しかし、御年95歳。ずっと若々しい姿をみせてらしたマエストロも、さすがに老人になったなあと思った。マロさんに支えられて登場したときは観客は今まで聞いたこともないような大拍手で迎えた。まだ演奏してないのにまるで世紀の名演が終わったような感じな拍手。足がまだお悪いので椅子に座って指揮。私は3階席真ん中へんの列はしっこだったので(いや、安席にしてはいいほうです)、指揮姿は遠く観客の頭でよく見えなかったが、指揮棒なしのその手で紡がれる音楽は意外と快活でテンポは速いかな、と思った。

それにしても。らじるらじるで昨日の演奏をプレイバックPart2しているが、「いやあ素晴らしい演奏だ」と心底感動した。実演で聴いたときはまあ3階席にしてはよく聴こえるな、NHKホールちょっとは音よくなったかなとか思ってたんだけど。何しろ楽員の集中力と何より聴衆の人々の集中力で、(私が)恐ろしく緊張してしまい「咳が出ちゃったらどうしよう」とか「お腹がなっちゃったら大変」とか思いながら聴いていた。もうこれ以上の「水を打ったような静けさ」はなかった。こんなに緊張したのクライバーの「薔薇の騎士」以来だ。ぴーーーんと張りつめた空気の中、楽章が終わるたびに聴衆みんなの安堵の声が聞こえるようだった。携帯が鳴るとか、演奏中くしゃみをするとかそんな粗相をする人は皆無。ほんとに・・・ほんとにこれだけはどんなにラジオの音が良かろうとも現場にいた人にしかわからない。エモーショナルな(若者言葉でいうところのエモイ)ひと時だった。

演奏の感想は・・・生中継されたしまあ11月にテレビ放送もされるのでそれを見て頂くとして(逃)。意外とこの曲で言われるような「死への恐怖」とか「この世との決別」みたいなのは感じず、まあ第1楽章はさすがに死神がうろちょろしているような感じはしたものの、第4楽章は「まだまだ生きるぞ」という指揮者の気持ちがあらわれるような演奏だったように思う。演奏終わったあとも深く落ち込むということはなく、感動しながらも「いいものを聴いたな」という明るい気持ちに溢れていた。まあ、演奏は超完璧というわけでもなくて第4楽章は高齢のマエストロの指揮のせいなのか打楽器の出が0.5秒くらい早いかなとか楽員さんも若干お疲れかなとか思ったりした(個人の感想です)。今日は改善されてより良き演奏になるのかな。券ないから行かないけど。

演奏が終わったあとかなり長い沈黙のあと、聴衆の一人が「ぶらぼう」と言ってみんな大拍手。あれ、あのさあ、ブラボーまだ禁止じゃないの?あとで「あれ、ブラボー言ったのオレなんだぜ」ってクラヲタ連中に自慢したいの?まあ・・・フライングじゃないからいいけどさあ。

万雷の拍手の中、マエストロはマロさんに支えられて2回も舞台に登場してくれた。「ああ、そんな無理せんでも・・・」とか思った。自分の高齢の父がやっぱりちょっと足が悪いので姿が重なった(でも父のほうが若いが)。

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拍手に応えるマエストロ。N響もカーテンコールは撮影可になった。

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2022年10月15日 (土曜日)

ヴェルディ/椿姫 ゲッツェル指揮/東京フィル

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ヴェルディ:歌劇「椿姫」(ラ・トラヴィアータ)

ヴィオレッタ:森麻季
アルフレード:山本耕平
ジェルモン:大西宇宙
フローラ:林美智子
ガストン子爵:大槻孝志
ドゥフォール男爵:成田博之
ドビニー侯爵:斉木健詞
医者グランヴィル:金子慧一

アンニーナ:増田弥生
ジュゼッペ:廣田亮
使者:秋本健
フローラの召使:川村章仁

指揮:サッシャ・ゲッツェル
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団

(生け花)華道家:假屋崎省吾 

(10月10日 Bunkamraオーチャードホール)

月曜日に観に行って、ずいぶん経ってしまったのだがまだ上演の素晴らしさは頭に残っている。演奏会形式ながら舞台に長椅子や書き物机などあり、かなりガチ演技つきであった。衣装もちゃんと幕ごとに合わせて変わっていた。(だもんでまあまあ券はお高い) 人気演目のため満席とまでは行かないがかなり席は埋まっていた。

4月に観に行った新国立での「ばらの騎士」で名演を残し、日本のクライバー信奉者を狂喜させたサッシャ・ゲッツェルの指揮の椿姫、もう行かないわけはない。薔薇の時はあまり指揮者が見えない席だったので、今回は彼の流れるような美しい指揮ぶりを堪能できた。まあ、指揮は言われるほどクライバーのコピーというわけでもないが、前日クライバーの椿姫のCDを全曲聴いていてテンポとかは全く違和感がなかった。ライブらしい盛り上げ方もあり、見事であった。歌手の背を向けての指揮だったので、たまにあわせたいときに歌手のほうを振りむくのがかっこよかった。

歌手は主役の森さんはじめ、穴がなかった。端役に林美智子さん、大槻さん、成田さん、増田さんなど二期会の重鎮で贅沢だなと思った。アルフレード役の山本耕平さんは舞台を見るの初めてなのかな。二期会のルルでアルヴァを歌ってたとのこと(私の観た回は前川さんだったので見てない)。なかなか森さんクラスのプリマドンナと渡り合うテノールは今は難しいのかな、とは思うけどまあ役柄がどう見ても「世間知らずの金持ちの家のお坊ちゃま」なので(いや彼自身はそんなことはないんだろうけど)、ヒロインより年下感があって一途な感じで良かった。そもそもそんな感じなのかなこの役は。

ゲッツェルさん森さんとともに、大西さん目当てで行ったのだが、「えー、父親役なんて若すぎる」と思いつつ聴いていたのだけど、立派な歌声で舞台を支配しておりなんだか途中で若さなど気にならなくなった。しかしまあ、子供の頃ジョルジョ・ジェルモンは「この二人を引き裂くなんてひどいジジイね!」とか思ってたのだけど、大人になると「まあ・・・親としては息子が高級娼婦と一緒になるのは・・・ちょっと」としか思わないよね。

森さんと大西さんはこのところバッハコレギウムのからみで一緒に舞台や演奏会で拝見することが多い。しかし、だいたいバロックだったもんでイタリア・オペラで観るのは新鮮である。とくに森さんの外見の美しさ・はかなさと、ヴィオレッタ・ヴァレリー自身が乗りうつったような演技に圧倒された。3幕の瀕死のシーンなど、迫真の演技に周囲からすすり泣きの声が。いやほんと、大満足の舞台。

そういえば、かなり前に同じホールで椿姫を見たんだけど(誰が出てたのかも覚えてない)、その時はヴィオレッタは死なず手を高く掲げたまま終わったので、やっぱりヴィオレッタは死ぬ演出のほうが落ち着くなと思った。

今回の目玉に生け花とのコラボとのことで、假屋崎省吾さんの生け花が舞台や会場に生けてあった。舞台は演奏中以外は撮影可とのことでみんなバチバチ撮っていた。ただ、「椿姫」だから椿に限られるし、赤い椿だとヴィオレッタがお仕事できない日になってしまうので(いや違うか)白い椿で統一されていた。

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カーテンコールも撮影可だったので一生懸命撮ってたんだけど、何分にも2階席で舞台から遠くてあまりうまく撮れず。あ、新国立合唱団は相変わらず素晴らしいですね。海外のライブ録音とか聴いても最近は「新国立のほうがうまいな」とか思ってしまう。

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素晴らしい舞台に連れて行った友人ともども感激して外へ。ずいぶん昔からやってる東急本店前のイタリアンへ。コロナ禍のせいか、ホールを店長?一人で回してて忙しそうだった。しかしかなり昔に通ってた気がするので、久しぶりに行って懐かしかった。あんまり渋谷で飲みに行かなくなったなあ。人が多くてしんどい。

演奏会を終わってその日某SNS(誰にも教えてない)でこの舞台のこと書いたところ、なんとサッシャ・ゲッツェル自身からイイネ♡を頂き、何日かして大西さんからも頂き、感動して動悸息切れめまいがして「しぬる」とか思った。いやしなんけど。さて今日もまた渋谷に行くのでしんどい。演奏会は楽しみ。

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