2019年3月16日 (土曜日)

グレの歌 カンブルラン

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シェーンベルク:「グレの歌」
ソプラノ=レイチェル・ニコルズ
メゾ・ソプラノ=クラウディア・マーンケ
テノール=ロバート・ディーン・スミス、ユルゲン・ザッヒャー
バリトン・語り=ディートリヒ・ヘンシェル
指揮=シルヴァン・カンブルラン
読売日本交響楽団
合唱=新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤 洋史)

(3月14日 サントリーホール)
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給与計算真っただ中の中、むりやり業務を終わらせてフレックスで都心から遠く離れた会社から1時間以上かけてサントリーへ。なんと遠くなったのだろう。地方から都心に駆けつけるクラヲタの気持ちが少しわかる。帰りは20分くらいなんだけどね。
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券は早々に完売、しかし当日になって当日券は若干出ますとのことだったが、行ってみると(アッシジのときみたいに)当日券のところに人が並んでいるわけでもなく、結構普通に買えてるのを見て、「意外と当日券20枚に萎えて諦めちゃった人も多かったのかも」などと思ったりもした。
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生グレは4回目。ずいぶん昔になるけど、私にとっていまだにベスト生グレは若杉さんとN響の演奏である。YouTubeに上がっているのでご興味のある方はご覧になるとよい。さすがに日本人の主役二人の方はひと昔前感はあるものの素晴らしい(テノール独唱がオケに埋もれずちゃんと聞こえる)し、それをはるかに飛び越えた高いレベルのルンケルの山鳩の名唱は歴史に残るものだと思う。何より若杉さんのメリハリの効いた指揮と完璧なテンポ感は、録画でもよく伝わってくる。
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ところで今年はグレの歌当たり年。大規模なオケと合唱・名歌手を必要とするためにそう滅多にやらないこの曲を、3つの日本のオケが取り上げる。もしかして「日本グレの歌選手権」でもあんのかな?と思うくらい歌手が凄いゴーカである。ほぼみな外人で、主役級はバイロイト他世界の歌劇場で歌う名歌手を揃えてきている(藤村さんは言うまでもなく「外国人級」枠である)。とくにノットが語り手に名歌手トーマス・アレンをぶっこんできたのはイギリス人の本気を感じる。
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さてカンブルラン。何年か前の読響「トリスタンとイゾルデ」の時のイゾルデとブランゲーネの役の歌手をキャスティング。テノールにはヘルデン・テナーで有名なロバート・ディーン・スミスと万全である。
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とくに清楚にして声量もあるレイチェル・ニコルズのトーヴェを、私は一番楽しみにしてきた。相変わらずのキュートなショートヘア、ワンショルダーのシックでセクシーなドレスがお似合いですわレイチェル。紹介文を見ると近年はシュトラウスのエレクトラを歌ったらしい。えー、バッハの宗教曲のソリストもする人がエレクトラ・・・汚れ役もやるんだねえ。YouTubeを探すと予告編的なのが上がってたけど。
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肝心の演奏だが。カンブルランの演奏は全く意外なことにやや遅いテンポでゆったりと聴かせていた。前の「トリスタン」みたいな快速演奏を想像していたので全く驚いた。しかし、テンポが遅いからと言って全くだれることはない。
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ヴァルデマル王のDスミスは(私は一階席の左端に近い席だったので見えにくかったのだがどうも暗譜だったようだ)とにかく「王様感」が凄い。外見から言ってもう王様そのものである。そこに相手役の清楚な「少女トーヴェ」にニコルズはぴったり。そのままオペラの舞台でもよさそう。二人の歌唱はまったく重なることなく、紅白歌合戦のように世にも美しいメロディーを惜しげもなく交互に歌う。一個一個のメロディをオペラアリアにしてもいいくらいなのに、美メロの無駄遣い。
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さすがにオケの大音量でテノールは埋もれてしまったところもあったけど、後半は力いっぱいの美声で高音を響かせていた。凄い凄い。ニコルズもまるで周りは星空のように輝かしく、不思議な少女トーヴェを歌う。トーヴェはずっとこのまま、舞台に残って歌って欲しいと思ったけど前半しか出ないんだよね。
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さて、もう一人の主役山鳩。前のブランゲーネは主役を食う勢いの素晴らしいマンーケだったが今回の山鳩も素晴らしく。人間じゃなく鳩に何故こんなドラマティックな歌を?といつも思うが、深い表現を求められるので名歌手しか歌わない。(メゾソプラノの目標と思われる役だが、Twitterを漁ってたら清水カスミさんも聴きにいらしてたらしく「いつか歌ってみたい役」とのこと。彼女の山鳩聴きたいな。)
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第1・2部が終わり休憩。ワーグナーのオペラにも増しておっさん率高く、男性トイレの行列が見られた。
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第3部。いつものようにオケの後ろの座席に合唱団が現れたが、意外なくらい人数が少ない。「こんなもんだっけ?」と若干当惑。少数精鋭なのかしら。
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第3部は第1,2部とはちがい、後期ロマン派のねっとりと爛熟の世界から、のちのシェーンベルクの作品に近い無調なエキセントリックな感じになっていく。最初に大部分作曲したあと10年くらいしてあとのほうをオーケストレーションしたもんで(すでに無調の人になってた)、前半と後半の雰囲気が違う。それでふと思い出したが、ずいぶん昔にストラヴィンスキーの「夜鳴きうぐいす」というオペラを聴きに行ったときも同様な事情があり、もう前半と後半がまるで違う作曲家が作ったみたいになっててそれはもう凄い違和感だったのを覚えている。
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私の頭の中では、前半は昨年観たエドアルド・ムンク展の数々の絵画で、後半はこないだネットで観た映画「ティム・バートンのコープスブライド」のストップモーションアニメの白黒の世界が広がっていた。骸骨の家来とともに毎晩荒々しい狩りを続ける王様、怯えて大声を上げる農夫たち、わけのわからない歌詞の滑稽な歌を歌う道化師(中学生のころから「パレ・グローブとエーリク・パーって誰だろう。今は子供だからわかんないけど、大人になったらわかるんだろう」と思って人生を送ってきたけどいまだにわからん)、そして最後はシェーンベルクお得意のシュプレッヒシュティンメの感動的な語り・・・ああ、なんという素敵な世界。シェーンベルクは絵がヘタクソだったから奴に映像化はムリだけど、ティム・バートンに映像化して欲しいな。
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さすがに最後の合唱は新国立だけあって素晴らしかったが、もうちょっと人がいても良かったかな感。フライング・ブラボーもなく、よいお客さんに恵まれた。TVカメラが入り録音もしてたのでもしかしてアッシジみたいにCD化されるのかな。されたら欲しいな、レイチェルさんの歌をまた聴きたい。もうすぐ読響を離れるカンブルランへの感謝の拍手はなかなか終わらず、私も合唱団がはける最後まで拍手をした。まあ、曲に慣れているせいか初アッシジの時みたいな衝撃はなかったけれど、素晴らしい音楽を体いっぱいに浴びてとてもいい気分だった。
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読響シンフォニックライブで放送されるらしい。
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2019年3月 4日 (月曜日)

映画「グリーンブック」

Green_book_poster昨日休日出勤して倉庫作業(ダンボール箱をえんえんと組み立てていた)したので、本日は代休のはずが午前中に急な打合せが入り半休になってしまった。そのまま帰るのもなんなので映画を観て帰ることに。月曜日はauマンデイなのでauビデオパスユーザーの人は(tohoシネマだけだけど)1100円で映画が見られるのよ。
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てっきり「翔んで埼玉」を観る気満々だったのだけど、私のテリトリーの日比谷tohoでも日本橋tohoでも「埼玉」はやってない模様。なにい?日比谷だの日本橋だの東京のお上品タウンでは埼玉の映画を上演しちゃいけないってわけ?
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しょうがないので、こないだアカデミー賞作品賞と助演男優賞と脚本賞を受賞した「グリーンブック」を観ることに。平日月曜日の昼間・しかもあいにくの大雨なのに、さすがにアカデミー賞効果。前のほうは空いてたけど、意外と他は埋まっていた。地味な映画なのにね~。
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まあ、まだロードショーになってそんなに経ってないんでネタバレはしないけれど、観終わっての正直な感想は「ああ、いい映画だった。でもそれ以上のものはない。」という感じ。おそらく誰が観ても「よかった」と思うだろうし、皆さんにお勧めする。けれど、私はちょっと一ひねりした映画を好む傾向にあるので、この映画はそんなに刺さらなかった。アカデミー賞作品賞とったのにあんまり評判よくなかった「シェイプ・オブ・ウォーター」のほうが私は好きだ。
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最後の最後にハッピーエンドなのがまあ・・・良かったんだと思うけど、私は「ニガー!ニガー!お前なんかこの部屋から出ていけ!」みたいな終わり方を一瞬想像してしまったので、普通にみんなで和気あいあいとして終わったのが・・・まあ、ホッとはしたものの、やはり予定調和的やなあと思ってしまったのだ。どうしたいのだ、私。
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最後は場内からパラパラと拍手が起こり、まあみんな良かったなあみたいな感じで帰ったみたい。私はやっぱり「翔んで埼玉」が観たかったなあと思った。それと無性にフライドチキンが食べたくなり、買って帰った。ケンタッキーのじゃなくてスーパーのだけど。
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なお、この黒人ピアニストさんはジャズを弾いてはいるものの、そもそもはクラシックのピアニストであり(黒人なのでジャズ弾けみたいな事務所の意向)、ジャズだけでなくクラシカルな曲も作っており、映画でも彼の作品「地獄のオルフェウス」の録音のジャケット写真の紹介が最後のほうにある(ストラヴィンスキーが評価?とかなんとか。忘れちゃったけど)。有難いことに音源はYouTubeにUPされているのでご興味がある方はお聴き下さい。最初の曲しか貼らないけど。印象派風のなかなかいい曲よ。

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2019年2月24日 (日曜日)

スティーブ・ジョブズのオペラ

グラミー賞が先日(ずいぶん前?)発表になったけど、クラシック部門は日本人でも受賞しない限り全く話題にはならない。
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ネットで調べてみたところ、なんかスティーブ・ジョブズの生涯をオペラにしたものの録音が受賞したみたい。今頃だけどそんなのあるの知らなかった。私マックユーザーでないものだからジョブズ興味ないし。スマホもiPhoneじゃないしな。
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そのオペラどんな音楽なのだろう、ガリガリの現代音楽なのかと思ったが委嘱・初演したというサンタフェ歌劇場のUPした映像によると全然そんなことなく。メイソン・ベイツという作曲家は比較的わかりやすい作風のようで、もしなんか間違って観に行ったとしてもたぶん退屈しないで観られそうな感じがする(字幕があればだけど)。

.全部聴いてるわけではないので感想はとくになし。音だけだと多分しんどいけど、映像で全部観たら面白いかもなあ。なお、昨年ノットのゲロ夢で素晴らしい天使を歌ったサーシャ・クックさんがジョブズの嫁の役を歌っている模様。

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メイソン・ベイツ:歌劇「スティーブ・ジョブズの革命<進化>」
Santa Fe Opera Presents 'The (R)evolution of Steve Jobs'
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2019年2月23日 (土曜日)

会社が移転 体に異変

既にちらっと書いたけど、勤めている会社が移転した。東京の下町から、東京でない関東地方のまあまあの地方都市?に引っ越した。私が住んでるところは東京23区内(サントリーホールに行くのに電車で20分弱)なので、どんなに遠いか・・・わからんか。
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ドアtoドアで1時間半。(「いやそんなんまだマシでしょオレなんか・・・」とか言うコメントは受け付けない。あくまで私の感覚なので。)今までは50分位でそれでも遠いなあと感じてたくらいなので、ホントにしんどい。会社は駅からは近いし、駅もド田舎というほどでもなく駅前は結構一通り何でもあるので、会社帰りは楽しいと感じることもあるけど、とにかく電車に乗ってる時間が長い。こんなに長く電車に乗ってると「私って電車マニア?」って思うほど。
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移転して3週間。通勤疲れが出てきたのか、私の一番のウィークポイントである「歯」に異変が。まあこれはいつものことなので「また来たかあ」くらいな感じなのだけど、痛いことは痛いし(2日ほど耐えられなくて早退)、スポーツと飲酒を禁じられているので結構凹んでる。会社のボーリング大会も不参加。
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それより。
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気になってることがひとつ。通勤が長いため、毎日電車の中でうとうと。朝早いので仕方がないんだけど。そしてこないだの帰りの電車の中でいつものようにうとうとしていた(爆睡してたわけではなく、半分頭の中は起きていた)。
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ぽちょっ。
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私の左のほっぺたを指でつっつく感覚。アレ?友達が乗り合わせてるのかな?と一瞬にして目が覚めて周りをキョロキョロしてみたんだけど、目の前にそれらしき人は居ない(ガラガラだったので誰も立ってない)。座ってる人も私の両横は3人分くらい空いてた。もしかして知らない人が座ってる人のほっぺたつっついて速攻逃げることはできるかもだけど、いくらなんでもそんな逃げ足の速い人はおらんだろう。それにそんなことする意味もわからんし。
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マスクはしてたんだけど、たしかに人の指の感覚はあった。夢じゃないと思う。私はうとうとするとごくたまーに心霊らしきものを見てしまう人なので、それもあるのかなあと。まさか、近頃ハマってるYouTuberの霊現象が私にもうつってしまった・・・とでも・・・いうのだろうか・・・・。

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2019年2月10日 (日曜日)

ハンス・ロット/交響曲第1番 ヤルヴィ/N響

1549796754314_3R.シュトラウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品8
ハンス・ロット/交響曲 第1番 ホ長調

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:アリョーナ・バーエワ
NHK交響楽団

(2月10日 NHKホール)

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みんな大好きハンス・ロット。「ヤマザキ春のパン祭り」ならぬ、「ハンス・ロット祭り」にやっと参加。何でも昨日の土曜日には昼間に神奈川フィルがみなとみらいでロットの1番を演奏、同じ日の夜にはヤルヴィ指揮のN響がロットの1番を演奏し、翌日の日曜(本日)の昼間にもヤルヴィ/N響でロットの1番を演奏。2日間に日本の首都圏で3回もこのレアな交響曲が演奏されたのである。3ロットともコンプリートされた方ももしかしていたかもしれない(Twitterでちらっと見たが何でもN響のトロンボーン奏者がインフルにかかり神奈川フィルの奏者が急遽カヴァーしたなんて話も)。
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私は言うまでもなく土曜日はタンホイザーに出かけてたため、神奈川もNHKも行けなかった。神奈フィル行きたかったなあ、行けば実穂子さんのリュッケルトも聴けたんだよね。まあ、新国タンホイザーもよかったのでこれは我慢我慢。
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日曜日のNHKで当日券を求めに参戦。結構残ってたのでよかった。知らなかったんだけどN響は自由席ってあるのね。まあ後ろの方なんだろうけど。係のおねいさんに一瞬自由席も勧められたけど今回はレアなコンサートなので奮発してA席で。
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NHKはバーエワちゃんの弾くシュトラウスのヴァイオリン協奏曲とのカップリング。大変申し訳ないが2月に会社が移転し通勤時間が大幅に伸び残業続きのため、あと昨日のワーグナー鑑賞もあり、疲れてシュトラウスは爆睡。ほとんど覚えていないので感想はなし。大枚はたいたのに勿体ない。許して。大好きなシュトラウスでこんなの初めて。
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さてロット。以前アマオケさんによる「田園前奏曲」の日本初演には出かけたことはあるが、交響曲はナマでは初めてである。日本のトップオケ、しかも名指揮者ヤルヴィの指揮ときたら、凄い演奏になるに違いない。
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音楽が始まって最初の方はさすがにあの「エデンの東」みたいなメロディが流れてきて謎の気恥ずかしさに襲われてなんかモジモジしてしまったんだけど(わ、わたしだけ?)、だんだんと・・・アレを思い出したわ、貴志康一の交響曲「仏陀」を。なんか若者が凄く頑張って交響曲を作っているけど、色々な作曲家の既存の曲に似てしまっている・・・ような。でも、この曲の「聴いたことある」感の大半はマーラーの交響曲だ。それはまあマーラーがあとで彼の曲を引用した(パクった・・・というよりも不幸な人生の彼を悼み彼の曲を後世に伝えるために、かと)ことに起因するのだけど。
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本当ならば忘れ去られるところであったロットの曲を、世界的に有名な指揮者が指揮し、腕のよいプロの楽団が演奏する。聴いていてなんだか私は「これでいいんだよ、拙いところもたくさんあるけれど、みんな君の音楽を愛しているんだよ。」とヤルヴィが語り掛けているような気がした。色々音が多すぎるとかうるさいとか、若書きの音楽にありがちの曲だけど、これはこれで良き。
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大好きな第3楽章のスケルツォ、私は周囲に観客がいない(しかも後ろは壁)ことをいいことに、心おきなくヘッドバンキング。1階の前のほうにいた観客も首を振ってノリノリだったのでいいんじゃないかな。
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第4楽章はなんか終わりそうで終わらなかったり、最後は意外にも静かな終結。聴衆の拍手は素晴らしく。いやはや約1時間の大曲が短く感じた。「えーこれ3回も行く人いるの?」とか聴く前は思ったけど・・・行く人の気持ちわかるわ~。私も3回はないけど、タンホイザーがなければ神奈川とNHK、両方行ってたと思う。
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珍曲マニアの知り合いに会うかと思ったけど、意外と誰にも会わず。昨日行ってしまったのかな。帰りに渋谷塔に寄り、バルビローリのトリスタン第2幕完全全曲盤(カットなしアメリカ初演)を発見?したので購入。フラグスタートはもとより、謎のトリスタンとブランゲーネ、マルケ王もみんな意外と良い歌唱。1290円はお買い得。1939年(!)録音。・・・実は昨日のワーグナーからまだ抜け切れてないの。

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2019年2月 9日 (土曜日)

新国立劇場「タンホイザー」

Tanheuser1ワーグナー:歌劇「タンホイザー」全曲
指揮:アッシャー・フィッシュ
演出:ハンス=ペーター・レーマン
美術・衣裳:オラフ・ツォンベック
照明:立田雄士
振付:メメット・バルカン
領主ヘルマン:妻屋秀和
タンホイザー:トルステン・ケール
ヴォルフラム:ローマン・トレーケル
ヴァルター:鈴木 准
ビーテロルフ:萩原 潤
ハインリヒ:与儀 巧
ラインマル:大塚博章
エリーザベト:リエネ・キンチャ
ヴェーヌス:アレクサンドラ・ペーターザマー
牧童:吉原圭子
合唱:新国立劇場合唱団
バレエ:新国立劇場バレエ団
管弦楽:東京交響楽団

(千秋楽)
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最終日にやっと行ってきた。実はTwitter等であんまり評判よくないのを見て、奮発してA席買ったのを若干後悔していたが、行ってきてよかった。とても感動した。
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新国立で「タンホイザー」観るの初めて。タンホイザーはあまり得意でないので人生たったの3回目である。前回は(すっごい前)皇太子さまと雅子様がご覧になった日だった。アレは演出エグかったなあ。今回の公演は皇太子さまは水曜日に行かれたようで、皇太子で最後のオペラにお会いできなくて残念である・・・って別に知り合いではないんだけど。
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今回の公演で(わたくし的に)特筆すべきだったのは、序曲がパリ版であることである(解説によるとドレスデン版ウイーン版との折衷版ということだが、よくわからん)。子供の時に(お年玉で)初めて買ったワーグナーのレコードが、カラヤン/ベルリン・フィルのワーグナー管弦楽曲集でありまして、それに入ってたタンホイザー序曲がパリ版だった。中間にカスタネットの「カッカラカッカラ」いうのが入ってて、最後には合唱が入るとても素敵な演奏であった。それで育ってきたから演奏会でタンホイザー序曲が演奏されても決してパリ版ではないので、いまいち物足りなく感じていた。
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今回は新国立バレエ団がおどるヤツで、カスタネットのカッカラッカッカラが聴けて本当によかった。合唱も新国立の合唱団だから美しき事この上なく。バレエもなんか映画の「アバター」を思い出すようなコスチュームだったけど、過剰にエロくなくてよかった。
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さて(私が勝手に)期待していた指揮者のアッシャー・フィッシュだが。残念ながら今回は日本のワグネリアン達には受け入れられなかったようだ。決して悪い演奏ではなかったが、いかんせん日本の聴衆は前音楽監督の熱い演奏に慣れ過ぎており・・・私もつい先日新響の「トリスタン」を聴いてしまったものだから・・・演目は違うものの、今回はやっぱり少し物足りなく感じた。恐らく「ヨーロッパ旅行に行ってたまたまスケジュールが合ってたまたま見たふだんのタンホイザー」くらいな指揮レベルだったのかなあと。
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歌手は総じて良かったように思う。タイトルロール(という割には劇中ではタンホイザーとは呼ばれずハインリッヒって一体お前誰なんだ)のケールは、前に観た「死の都」と同じように、最初の方の公演は悲惨ながらも最後は結構調子よくなるという感じであった。新国立でのケールは最終日とるのがコツよん。
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エロ担当と清純担当のそれぞれの女声歌手さんは、どちらも同じように良かった。どっちが優れているとかそういうのはなく、それぞれ。どちらも役に合った声質かと。
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男声の主要歌手では、やはり妻屋さんはもっぱら安定の歌唱。というか妻屋さんが調子悪いの見たことない。我々新国立民は普通に色んな(人間役でも巨人役でもマッドドクター役でも)妻屋さんを見聞きしているけど、これって凄いことじゃないの?
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ヴォルフラムのローマン・トレーケルは普段はスキンヘッドなのに舞台でカツラ被ると途端にカッコイイパターン。「タンホイザー」を観るたびに思う、「エリザベートはどうしてあんなタンホイザーなんか風俗野郎に夢中なの、ヴォルフラムのほうが絶対いい人なのに、バカじゃないの」って思うけど、今日も思った。「夕星の歌」良かった、泣けた。というかそもそも「夕星の歌」はとってもいい曲だ。
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その他、大変素晴らしかったのは牧童の吉原さん。朝の光に吸い込まれそうな美声で最初からホロリと泣きそうであった。オーボエも(いやこれは奏者が吹いてるんだけど)素晴らしかった。
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演出は、普通に受け入れられやすい演出で、よかった。帰る道々ワーグナーにあんまり詳しくなさそうなマダムたちも「なんか今まで一番良かった」って話すのを聞いたので、わかりやすかったんだと思う。ただ、ヴェーヌスがいつも乗って出てくる「ヴェーヌスベルク号」が最後にゆっくりと後方に引っ込んでいくところがなんかじわじわ来て笑ってしまった。
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しかしまあ、一番良かったのは言うまでもなく新国立劇場合唱団の皆様。もう世界に誇れるレベルかと。トンでもなく昔に聴いたバラッチュ率いるバイロイト祝祭合唱団と張れるよきっと。
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ただ、本日唯一残念だったのが・・・聴衆である我々がいまいち体調がすぐれない人が多かったことで・・・雪が降るような極寒の中やってきて、劇場内は暖房と満席ですっごく暑くて、私は上はブラウス一枚になって観劇してたくらい。いつもよりすごく咳払いが多くて私の前にいたおじさんがブチ切れたりとか、散々な日であった。まあ、体調は急に悪くなったりするし仕方がないんだけどね。

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映画「私は、マリア・カラス」

Mariacallasとくにすごく感動したというわけではないのだが、会社が移転してたまたま近所の映画館でやってたので(映画館に入ってみたくて)2回目を観た。例の映画「ボヘミアン・ラプソディ」にもカラスが歌った「カルメン」のハバネラが使われていたけれど、あの映画のフレディとは違いこの映画はちゃんと本人の映像が使われており、すべて彼女の言葉で綴られている。彼女の書いた手紙を読む声は、以前映画で彼女の役を演じた女優さんが担当している。
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ドキュメンタリーなので、「ボ・ラプ」みたいな圧倒的な感動とか盛り上がりとかそういうのはないのだけど、彼女の人生自体はドラマティックだし、プリマドンナとしての苦悩とか恋に生きる1人の女としての苦しみとかが描かれていて興味深い。未公開映像がかなり含まれているようで、この映画で初めて観る映像がかなりある(ていうかそもそもそんなにカラスの映像を見てたわけではないのでわからないのだが)と思う。
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のっけからの蝶々さんの登場シーンで圧倒される。カラスの蝶々さんの映像があったのか!とびっくりする。まあ、舞台自体は(後ろの合唱の人とか)なんちゃってニッポン満載なのだが、当のカラス本人はなかなかの着物の着こなしであり、本当に奇麗である(可愛い)。歌ももちろん凄い。アレ、ナマで観たら号泣しそうだな。出てきただけで号泣する自信あるわ。
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他にも珍しい舞台(ヴェスタの巫女だっけかドラを鳴らすの)がたくさん見られるし、結構晩年にあたる東京での来日公演の模様もちゃんと出てくる。っていうか、ロックコンサートばりに舞台に観客が押し寄せて握手を求めたり花束を投げたりするの、最近はクラシック・コンサートやオペラでは観たことないな。あまり大スターのコンサートに行かないせいかな。昔はあんなだったんだよなー。
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カラスは、大歌手としての名声は得たものの、(大スターにはありがちだが)私生活面では幸せは得られなかった。結婚相手のメネギーニはほとんどマネージャーみたいな感じだったし(仕事面のサポートはしてたが、彼女を母親にはしなかった)、世紀の大恋愛?と思われる大富豪オナシスとは悲恋に終わった。まあ、ウィキペディアなんかで見ると元ケネディ夫人のジャクリーヌが、ケネディの死後自分の子供の命を狙われるのを危惧して、家族の命を守るために強引にオナシスを奪ったみたいな感じだったので、カラス本当にかわいそーにと思った。オナシスとジャクリーヌの結婚を知ってカラスは相当ショックだったようで、その時のことは友人への手紙に切々と綴られている。それにしてもオナシスってアリストテレス・ソクラテス・オナシスって名前なんだって初めて知った。偉い人すぎるわ。日本で言うと「鈴木聖徳諭吉」みたいな感じか(違う)。
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この映画は(まだ映画館で上映しているうちに)カラスのファンはもちろん、おおよそのオペラ好きな方は観た方がいいと思う。わたくし的にはメトでの舞台を見るために徹夜で並んでる昔のペラキチの若者たちにインタビューするシーンで、壁に貼ってあるシュトラウスのサロメのポスターに目が釘付けだった。「あ、ニルソンが!アイリーン・ダリスも!」などと。あと、まだ若いジョルジュ・プレートルがアリアの伴奏の指揮してるのがほほーと思った(そもそもEMIでかなりオペラの録音を残してるので、そんなに珍しくはないのかな)。

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